舌癌の生存率、死亡率について
今回は、舌癌の生存率、死亡率についてお知らせします。
「生存率」と「死亡率」はこの場合、同じ意味になりますが、言っている本人が「生きることを考えている」のか「死ぬことを心配している」のかによって分かれる言葉なのかもしれません。
舌癌の状態
舌癌に限りませんが、癌は進行に応じて悪くなります。
いわゆる、「ステージ」と言うやつです。
数字が大きくなる程状態は悪くなっていることを示しています。
当然、軽度の癌の方が治りやすいですし、重度の癌は治りにくいです。
ここで、舌癌の各ステージについての内容を確認しておきましょう。
ステージ | 状態 |
---|---|
ステージⅠ | 癌の大きさは2cm以下。リンパ節への転移はない。 |
ステージⅡ | 癌の大きさは2cm~4cm。リンパ節への転移はない。 |
ステージⅢ | 癌の大きさが4cm以上。もしくは、首やあごなどのリンパ節に3cm以下の転移がある。 |
ステージⅣ | 癌が口の周囲の筋肉や皮膚、上顎にまで広がっている。 または、リンパ節へ3~6cmの転移がある(IVa期)癌の腫瘍が口腔内を越えて、頭やのど、頸動脈まで広がっている。 またはリンパ節へ6cmを超える転移がある(IVb期)癌が口腔から遠く離れた臓器へ遠隔転移している(IVc期) |
舌癌の大きさと、リンパ節への転移があるかないかで分かれていると言ってもいいでしょう。
舌癌は他の癌と違って、リンパ節への転移がしやすいという特徴があります。
それは、舌の中に癌が出来るのでリンパ節に近いからと言えます。
舌癌の生存率、死亡率は以下のようになっています。
ステージⅠ・・・5年後生存率90%以上
ステージⅡ・・・5年後生存率90%以上
ステージⅢ・・・5年後生存率50~60%
ステージⅣ・・・5年後生存率30%以下(10%程度と言う医者もいます)
※5年後生存率とは、5年後に生存している率なので、癌以外の理由で死亡していることも数に入っています。
そのため生存率100%は有り得ません。
5年後生存中央値とは、5年後に生存している人の半分が生存していて、半分が死亡している状態を示します。
この場合「命にかかわる」と言うのは、転移があるかないかで大きく変わってくると言えます。
このため、出来るだけ早い対応が必要と言えます。
口内炎などの他の症状だと勝手に判断してしまって、不具合に気付きながらも放置していると舌癌が進行してしまうことがあります。
不調を感じたら早めに医者に判断してもらいましょう。
リンパ節に転移するということ
ステージⅢになるといきなり5年後生存率が下がってしまう一番の原因は、「リンパ節への転移」です。
リンパ節の転移とはなんでしょうか?
全身にはリンパ管と言う、リンパ液が循環している管があります。
全身からリンパ液を回収して、静脈に戻すのが役目です。
血管や組織内に異物が入るのを阻止します。
このリンパ管とリンパ管のつなぎ目がリンパ節です。
豆のような形で0.2cm~3cmくらいの大きさで、一つの場所に2個から10個まとまってあります。
全身で600個程度あると言われています。
癌細胞もリンパ節に入りこもうとする場合、免疫力で阻止しようとしますが、防ぎきれない場合リンパ管内を癌細胞が入りこんでしまします。
リンパ管は全身をめぐっているため、リンパ管内の癌細胞は流れついた先で着床し増殖を始め発病します。
どこで止まるかは誰にも分からない状態となります。
最初は舌癌だったとして、リンパ節への転移があった場合、肺や肝臓、腎臓など体中のあらゆる臓器での発病が有り得ます。(心臓は細胞分裂をしていないので「心臓癌」と言うのはありません。)
末期癌とは?
テレビのドラマや文学の世界などでは、「末期癌」とか「末期」とか言いますが、医者は「末期」という表現は通常しません。
「末期」を指すのは「ステージⅣ」だと思いますが、上記の表でも分かるように、ステージⅣでも必ず死亡するわけではありません。
(5年後生存率が0ではありません。)
- 癌が手術では取りきれない
- 癌の進行が進んでいる
- 上記から数か月以内に死亡することが容易に想像できる
状態を指すのかもしれません。
リンパ節への転移があった場合、癌細胞は全身をめぐっています。
辿り着いた先で発病する可能性を常に孕んでいます。
リンパ節に乗った癌細胞を一つ一つ取り除くことは不可能です。
この癌細胞は抗癌剤で殺すことになります。
抗癌剤は体質的に合う、合わない、があり、必ず癌細胞を殺すことが出来るとは限らないのが現状です。
その場合、別の種類の抗癌剤を試すことが一般的で、体力との勝負となります。
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