舌癌患者の歩く速度
私は舌癌で合計2回手術をしました。
舌癌での手術の場合、口の中なので術後思うように食事が摂れません。
私の場合は、特に糸で舌を縛り付けていた状態でしたので、固形物さえ食べられませんでした。
2度の入院で気付いたことがあります。
ここでシェアしたいと思います。
2度入院して気付いたこと
舌癌で2度も手術をしました。
軽い再発です。
でも、手術して切り取った皮膚には癌細胞があったとのことですので、舌癌に間違いありません。
術後2~3日はとにかく痛いのです。
もちろん、痛み止めは飲んでいます。
しかし、傷も痛いけど頭も痛い。
慢性的な痛さは思考力を下げます。
私はこの時「とにかく時間が過ぎろ!」と思っていました。
笑いは免疫力を高めるといいますが、そんなの現在の痛さには追いつかない。
とにかく、ずっとベッドの上で一番痛くないポーズのまま時間経過を待ちました。
2度目の入院の時は、少し心に余裕があったのか、痛いのを事前に覚悟できていたからか、ひたすらyoutubeを見ていました。
何故かバナナマン。それまでは特別好きでも嫌いでもなかったのですが・・・。
ちなみに、一番覚えているのはこれです。
口の中が痛いので笑うことはないのですが、ベッドにポータブルテレビを持ち込んで一番痛くない変なポーズでずーっとyoutubeでした。
後で聞いたら、看護師さんもなんて声をかけていいのか分からなかった、と言われていました。
「傍から見たら変だろうな」なんて気にする余裕などなかったのです。
1週間もすると少しづつ心に余裕が出てきます。
痛さも少しづつ和らぐのか、自分が慣れてきたのか、痛み止めの間隔に馴染んできてどれくらい我慢したらいいのか理解してきたのか・・・
舌癌の手術の場合、手術するのは舌です。
首から下はそれまでと何も変わらず元気なのです。
余裕が出たら暇も持て余します。
だから病院内を歩いて暇をつぶしました。
ただ、最初のうちは建物の中と言われました。
だから入院しているフロアーを歩きます。
この時は、入院している人しかいないエリアだったので何も気づきませんでした。
その後、病院の敷地内に出てよくなってからです。
そのことに気付いたのは。
入院患者は一般の人よりも歩行速度が遅いです。
足をけがしているなどの場合は、当然でしょうが、舌癌の場合は舌だけしか切りません。
首から下はそれまでとなんら変わらないのです。
だから、普通に歩くことができるはずで、歩いても痛くなるところなどないはずなのです。
でも、敷地内を歩いていると、私の場合は大学病院に入院したので学生さんもいます。
歩くのが速いのです!
私は普段どちらかと言うと、歩くのは速い方です。
しかし、1階の購買まで行って帰ってくる時(何も食べられないのでおやつを買いに行ったのではない)、後ろから普通に歩いている学生に追い抜かれていました。
普段は歩くのが速い私なので、あまり経験がないので覚えていました。
やはり病人と言うだけで、手術を受けたというだけで、心まで病人になっていたのだと思います。
いくら病院内を歩いても、一般人には見えないのです。
実際、病院敷地内を歩いている人を何人も見かけました。
パジャマではなく、私服だからお見舞いに来た人かもしれません。
でも、病人はすぐ見て分かるのです。
歩くのが遅いのです。
本人が意識せずに。
入院2週間も経過すると、私も病院の敷地内なら散歩しても良いようになります。
私の場合は、しっかり普段着に着替えて、病院と隣接する古本屋まで行きました。
入院患者と悟られないように、「普通」の速度で歩いて。
こうすることで自分を「病人精神」から奮起させていたのかもしれません。
病院には当然病人が多いです。
入院していると周囲にたくさん病人がいます。
みんな歩く速度が遅く、自分が病人だと心のどこかで思っています。
誰も「ゆっくり歩こう」なんて意識していません。
私が古本屋に歩いているのも、見る人が見たらゆっくりだと感じたのかもしれません。
病院がすぐ近くだから、入院患者だとすぐに分かったかもしれません。
でも、その上で歩いていど自由にさせてもらえないと「病人精神」に囚われて、いつまでも奮起できなくなってしまうのだと思います。
「気は心」と言いますが、「自分は病人」と思ってしまうのが病院だと思います。
ここで、それに負けない気持ちを持つことで回復が早くなるのかもしれません。
実際私は、予定よりも少しだけですが早く退院することができました。
普段はまず気がつかないと思いますが、入院したら気付くかもしれません。
入院患者は歩くのが遅いです。
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