舌癌で入院したら、ほぼ100%舌の手術をしたということでしょう。
舌の手術をすると、手術した部分が定着するまで入院することがほとんどです。
その理由としては以下です。
まず、私の手術の場合、舌の側面を長さ5cm×高さ3cm×暑さ5mm切りました。
お腹から切り出した皮膚を舌の切り取った部分に植皮しますが、縫っただけでは浮いてきます。
そのため、ガーゼを詰めたバルーンを準備して、舌に押し付けて糸で縫い付けます。
舌が糸とバルーンで固定されているため自分の唾を飲みこむことすら難しい状態です。
そのため、手術後は鼻から入れたチューブで離乳食のような流体物を胃に直接送り込み栄養を摂取することが多いです。
私の場合は、チューブが入っている時点で体液と鼻血と鼻水で完全に鼻が詰まり、鼻からも口からも息ができないためチューブを抜いてもらいました。
私の場合は朝10時くらいから手術でしたが、6時間くらいかかったらしく目が覚めたら夕方4時でした。
全身麻酔のため、手術直後から全く意識がないので途中のことはわかりません。
病院の場合、夕方6時には食事です。
少し早いですが、これは栄養士さんが帰る時間が大きく影響していると言われています。
健康的な生活をしたいたら夕食は6時くらいがいいのでしょうか・・・
ちなみに、食事はこんな感じです。
茶碗が1つ。お椀が3つ。右にあるのはみそです。主にご飯に塗って食べる感じです。
左上は飲み物ですが、栄養価が高い飲み物となっています。
それぞれふたを取るとこうなります。
さっきまで「ごはん」だと思っていた物はカッターシャツのアイロンの時に使うと良さそうな「のり」のようなお粥。お椀は煮物でも何でもなく、汁オンリーです。つまり固形物は一切ありません。
それもそのはず。自分の唾すら呑み込めない状態です。
とにかく苦しい日が数日続きます。
とにかく朝も昼も夜もこんな食事です。
朝。牛乳があるのがなんとなく朝を思わせます。
ごはん(っぽいのり)とみそしる(っぽい汁だけ)とおかずっぽい汁と、結局全て汁です。
昼食はジュースが付いている。
お?1品多い?でも結局汁ばっかです。
手術は口の中だけなので、歩いたりすることは全然大丈夫です。
しかし、食堂で他の人と一緒に食べるのは無理でした。
歯科大は総合病院になりました。
他の入院した人は内科だったり、外科だったりするので普通の食事なのです。
液状のものだけを、通常の何倍も時間をかけて食べる様は他の人にはとても見せられません。
なにより自分がみじめに感じてしまうことでしょう・・・
点滴も定期的に続けられています。点滴のたびに針を刺す必要がないように、管が付きっぱなしです。
当然動きにくいし、ご飯は食べにくいです。
数日たっても内容は特に変わりません。
唯一変わるのは、一緒につくチューブ状の味のあるもの。画像では梅味です。
全く味付けしていないお粥って正直食べられないですよ。お腹が空いていても食べられないって・・・
人は贅沢にできているのかもしれません。
手術から1週間から10日したら、検査があります。
消毒は毎日行うのですが、舌に貼り付けた皮膚が舌に定着したか検査があります。
定着したようだったら、バルーンを外してくれます。
そしたらようやく舌が解放されます。
舌が動く!これはかなりの解放感です。
食事も全粥から3分がゆにグレードアップ(?)します。
デザートに固形物が出ています!
約10日ぶりの固形物。でも急いで食べることはできません。
そして、噛み応えがないというのはこうも食事に楽しみを見いだせないものかと実感させられることになります。
食事はお粗末すぎて、また食堂でみんなと一緒には食べられないので、病室で一人で食べます。
ちなみに、病室ってこんな感じです。
だいたい食事の時はカーテンを閉めて食べることになります。
バルーンが外れると共に、全粥が3分がゆになりましたが、翌日には6分がゆまで戻ってきます。
ご飯に粒々が返ってきました!味噌汁には豆腐が見えます。更に小鉢には固形物が!
食事は病院ですからそんなにおいしくないです。しかし、全粥にした時点で完全に美味しくないです。
約10日経過して何とか粒があるものに戻って来たらなんとなく「食べている」と言う実感が感じられてきます。
このころには点滴も終了して腕から管が抜かれます。
針は思った以上に長いものが入っていたのだと抜くときに知ります。
ついに来ました!通常食。
手術から約2週間経過したと思います。
完全に粒があるごはん!お吸い物。魚もあります。
まだ口の中は痛いので、ゆっくりゆっくり食べることになります。
でも、普通のご飯なので、この時くらいから食堂でみんなと一緒に食べることになります。
「みんなと一緒」と言っても、他の患者さんのことはほとんど知りません。
また、口の中の手術なので入院中ほとんどしゃべりません。
動かすと痛いし。
それでも固形物は嬉しいものです。
ご飯と味噌汁。付け合わせもあって普通です。普通だけど嬉しい普通です。
このころから気づきます。「ごはんが残る」と。どう組み合わせてもご飯が余るのです。
栄養学的にはいいのかもしれませんが、ご飯の量とおかずの量で比較すると、ご飯あまりなのです。
「ご飯安、おかず高」の取引です。
ここで、会社の同僚がとんでもなくいいものをさしいれしてくれました!
それがこれ!
もう、おかずすら要りません!ふりかけがあれば大丈夫!
ただ、小さい粒が舌の側面に入りこむんです。気持ち悪いし、舌を動かして取ることができません。
食事の後、うがいや歯磨きできれいにすることで解消されます。
それよりも味!ふりかけはお見舞いの品の中で最もうれしいものでした。
病院とてふりかけの効果を知らない訳ではないようです。
ごはん、みそしる、野菜、そしてふりかけです。
差し入れてもらったものには落ちますが、ふりかけがあればご飯が食べられます。
自宅よりも若干ご飯がゆるめなのです。お年寄りなどもいるためかもしれません。
うちのIHジャーで炊いたご飯がおいしいのです。
病院のふりかけはサクサクと食べて、お見舞いでもらったふりかけでご飯を食べます。
本当に入院している期間のすることと言えば、寝る、食べる、消毒しかないので、食事は一大イベントです。
その食事がまずいと地獄です。
私の場合はパソコンとポケットwifiを持ち込んで仕事をしていたので時間を持てあますことはなかったのですが、時間の使い方次第ではとても大変なのが入院だと思います。
入院から約3週間。一時帰宅が許可されました。週末は検査もないし、消毒もそろそろ必要ありません。
病院にいる理由がないなら、医者の許可をもらって一時帰宅しました。
家族と共に普通の定食屋さんへ!
ナニコレー!?チョウ ウマソウー!!
家族は普通の反応ですが、私一人食事に感動!
器がメラミンじゃない!
油ものなどもある!
ごはんがゆるゆるじゃない!
しかも、味がしっかりついています。
これは美味しい!
やっぱり「シャバの飯」は美味しいです。
一時帰宅が許可されても、退院したわけではありません。
再び病院に戻り、週明けの検査を受けることになります。この検査でOKならば晴れて退院の許可が下りるというものです。
当然、病院では食事をします。
もう、何でも食べていいということでこの日はパンが出ました。
小学校か・・・
この食事を摂っている時は、既に退院が決まっていた時なので、正直この食事はほとんど喉を通りませんでした。
自宅や外食のご飯はおいしい!
それを再確認した後に病院のご飯は難しいです。
人は飢えると何でも食べられると言いますが、ダメなものはダメでした。
舌癌で入院した時は、だいたい手術のあととなり、食事は汁状の物ばかり。
1週間から10日くらいはこれが続きます。
皮膚が定着して来たら、バルーンが外れて食事も段々通常食に戻ってきます。
いったん戻り始めたらかなりのペースで通常食に戻るのでここで結構嬉しくなります。
「何でもないことが幸せだったと思う」なんてどこかの歌の歌詞にありましたが、本当に食べるなど基本的なことはできなくなって、初めてそのありがたみが分かります。
とは言え、病院食は一般的に美味しくないです。
ふりかけが手放せない状態になります。
退院したり、一時帰宅したりして「普通の食事」をするととても感動します。