舌癌入院の時の患者の追い込まれ具合
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舌癌入院の時は長期入院が考えられます。
いや、ほとんどの場合長期入院です。
最近のことを考えると、一般的な癌でも軽度なものは入院期間が比較的短いです。
外科手術を行ったたら、体力回復をさせ、退院という流れです。
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他の一般的な病気と比べ癌は比較的すぐ退院します。
主な疾病名 |
平均入院日数(日) |
胃癌 |
27.0 |
肺癌、気管支癌 |
27.4 |
肝癌/肝血管肉腫 |
22.7 |
総合失調症 |
545.7 |
脳梗塞 |
113.1 |
骨折 |
43.1 |
脳内出血 |
129.8 |
肺炎 |
32.1 |
急性アルコール中毒 |
115.9 |
(総務省統計局 平成20年患者調査 「退院患者平均在院日数」より)
もっとも、治療・検査のために通院した期間は平均で3年5か月です。
(アフラックがん罹患者アンケート調査(2013年8月実施)より)
つまり、入院期間は短いけれど長期に付き合ううことになる病気、それが癌です。
一方、舌癌は手術があれば必ず長期入院になります。
舌やあごの手術を行うため、通常の食事が摂れないからです。
病院で専用の食事を準備してもらう必要があることから入院が長期です。
ちなみに、舌癌初期の私の場合は舌左側面の皮膚を切除して、
お腹の皮膚を植皮する手術を行い、入院は22日間でした。
舌癌で22日入院した場合、私の場合はまだ短い方だったようですが、だんだん追い込まれて行きます。
当時の手帳にメモしたことを参考に日付ごとにお知らせしたいと思います。
<<不安感から全てが気に入らいない期間>> |
手術前日 |
夜は食事の時間がいつもより早い。
明日(手術)のために早く寝る必要がある。 |
手術当日 |
朝から食事抜きでコーヒーも飲めない。
水はOKだけど、トイレに行きたくなるので飲みたくない。 |
<<とにかく痛さと付き合う期間>> |
手術後 |
口のあたりが固まったようだ。
動かせないし、痛い。
恐る恐る口を上げて鏡で自分の口の中を見るが怖い。
口を大きく開くことが出来ない分、よく見れないことが返ってよかったかも。 |
手術後1~3日 |
とにかく痛い。
痛み止めが切れたら新しく飲む感じ。
薬は6時間あける必要があるけれど、4時間くらいしたらもう痛い。とにかくベッドの上で横になって過ごす。
考えることは「とにかく時間が早く過ぎろ」と言うことだけ。
誰とも会話はしないし、頭はずっと枕に当てて同じ姿勢を続ける感じ。 |
入院5日目 |
入院生活のペースがやっとできてきた感じ。
食事が辛い。流動食で液状のものばかり摂取するが、お腹はいっぱいにならないし、満足感もない。
お腹は空いているがおいしくない。
食事にすごく時間がかかるし、痛い。
食後の歯磨きも痛い。
自分のつばを飲みこむことも出来ない。
少し間違うと苦しくなる。舌が動かないということは想像以上に辛い。 |
入院7日目 |
日々の消毒の時に「そろそろバルーンを外そうか」と言われた。
バルーンとは、舌に貼りつけた皮膚が定着するために押し付けてるのに使っている風船のことで、中にガーゼが入っていて舌や歯にぬいつけてあるもの。
1週間口の中にずっと入っているバルーンなので臭い。
その臭いが、口の中だけではなく、鼻までしているので余計に気分が悪い。早く外したい気持ちもある反面、まだ全然舌も動かせないし痛いので不安。
食べられないのでお腹は空いているけれど、もう流動食は体が受け付けない。
「本当にお腹が空いたら何でも食べられる」は嘘だな。
いくらお腹が空いても食べたく無いものは食べたくないようだ。 |
入院8日目 |
バルーンを取ってもらった。
臭いの元がなくなった分、少し臭くなくなった。
ただ、鼻の奥に臭いが残っているので1日~2日はあの臭いから逃れられない。食事の後歯磨きをガシガシやりたいけれど、皮膚がちゃんとついているか不安なのでそーっとそーっと磨く。
口にかなり開放感がある。しかし、動かすと痛いのでそーーーーっと口を開けて中を鏡で見る感じ。 |
<<満足にしゃべれないし、することもない孤独の期間>> |
入院10日目 |
痛みが落ち着いて来たらとにかく退屈が始まる。
首から下は今まで通り元気。口はあまり動かせない。
頭を使うようなことも難しい。一番役に立ったのは、「タブレット」と「ノートパソコン」。
タブレットではとにかくyoutubeを見てた。
8割以上は「バナナマン」のコントを見ていた。
一番好きなネタは「日本順番」。
でも、笑うと顔の筋肉が動いて舌が痛いので真顔で見て、心だけで笑っていた。
「笑いは免疫力向上にいい」と言う誰かの言葉をひたすらに信じてバナナマンを見続けた。
ノートパソコンは、ひたすらにメルマガを書くのに使った。
この時はブログをやっていなかったので、ひたすらメルマガを書いて入院費の足しにしようと思っていた。
ネット環境を準備していて本当に良かった。
レンタルのwifiは3か月間借りて1万5000円などだったので高いと思ったが、お金には変えられないものがあった。
今ならもう少し安く借りることができる。
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バルーンを取ったことから、全て液状だったご飯に少しだけ粒が見える物になってきた。
たった、これだけでもうれしいと感じる食事・・・

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入院14日 |
2週間も入院していると時間を持て余す。
外を見ると太陽が出ていい天気。

平日の昼間。
当時勤めていた会社では同僚が仕事をしている時間。
自分はエアコンが利いた部屋でベッドに寝てる。
服装はパジャマ。
これが病院でなくて自宅だったら完全にダメ人間・・・などと考える。
心の支えは、「保険」。
ちゃんと保険金がおりるからお金は稼いでないけど家に迷惑はかけない。
入院している時点で十分迷惑かけてるけど他にどうしようもない。
今は甘えるしかない。 |
入院16日 |
昼間は普通の服に着替えて病院の敷地内を散歩。
ずっと病室の中にしかいなかったので遠くが見えにくくなっている!
あと、歩く速度が遅い。
一般の人にどんどん追い抜かれる。
手術したのは舌だけなのに歩く速度まで遅くなるなんて・・・
とにかく「普通」に見えるよう練習。
夏の暑い日に汗だくだく。
半月エアコンの利いた空間から出なかったので外が辛い(この時8月) |
入院18日 |
やっと自分の舌を見る勇気が出てくる。
痛いけれどピークは過ぎた。
食事も徐々に普通食になってきた。
「噛む」と言うことがどれだけありがたいか。
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入院19日 |
とにかく時間を持て余す。
youtubeもバナナマンは観尽した。ジャルジャルなども見るが、バナナマンに勝る面白さはない。
昼間の時間は、普段着を着てこっそり病院の敷地外に。コンビニで立ち読み。
病院のすぐ横なので先生などに会わない様に少しだけ陰にいる。
あと100mほど先の古本屋に行って本を数冊買う。
別に定価で10冊買うお金は持っていたが、「ずっと寝ているだけ」と言う罪悪感からか1円でも節約したいと考える。
買った本は5冊。1冊50円の物と100円の物で合計400円。
買った5冊はその日に読み終わる。

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入院20日 |
明後日退院が決まった。もう、今すぐ退院したい。
明日は週末なので一時外出の許可がおりた。
とにかく病院を出たい。
暇で暇ですることがない。 |
入院21日目 |
許可をもらって一時外出。
病院を出たのは午前11時ごろ。
午前の検査が終わったらすぐに普段着に着替えて嫁と子が迎えに来るのを待つ。外出して外食。
昼は家族でラーメンを食べた。
「熱いもの」を食べるのは久しぶり。

口の中が心配だったがゆっくりゆっくり食べた。舌に熱いものが接触するのがすごく新鮮な感じ。
そう言えば、病院食で「熱いもの」はない。夕食は大戸屋に。
和食のファミレスなのにこれが美味い!
食べるのには時間がかかるけれど、むちゃくちゃ美味い!
「食べる喜び」と言うのはこう言う時に本当に実感する。

大戸屋が美味いのか、病院食がマズいのか・・・
18時には病院に戻る。
病室に戻ると週間ですぐにパジャマに着替える。
また時間が止まった・・・ |
退院日 |
午前中の検査が終わったら即退院!!
「昼食は要らない!」と思ったが、嫁が来れるのは午後。
自分で帰ろうと思ったが、意外と荷物が多く一人では運べない。
しょうがないから病院の昼食を。

この日初めて「普通食」の昼食。
もう病院食では心が躍らない・・・人って贅沢。 |
このように、前向きでいられるのは相当難しいです。
身体は休めて置かないと傷は治りが良くないのでしょうが、何もしないと心が病んできます。
退屈と付き合うための武器を準備しておかないと大変です。
実際入院生活で動かなくなることで年配の人は認知症が発症したり、年配でなくても鬱になる人は少なくないようです。
入院は単に病院で過ごすだけではない、ということです。
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