死を意識するということは生きることを考えること

ブログ, 手術, 白板症, 舌癌

舌癌になって考えることは、自分自身と向き合うことを意識し始めたと言うことです。
私は自分が癌になるまでは、特に大きな成功もなく、大きな失敗もなく、適度に良いことと悪いことが起こる普通の生活でした。

 

そんな時、舌癌であることが分かりました。
37歳の時でした。
色々変わりました。
それについてお知らせしたいと思います。

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私が舌癌だと確定したのは、1度目の手術が終わった日から1週間後くらいでした。
手術で切除した舌の表面組織を病理検査で癌細胞がないか調べてもらったのです。
検査の結果が出るまでに1週間。

 

「癌細胞が見つかりました。」

 

と言われた時は、「やっぱりそうか」と言う感想でした。

舌癌の手術の同意書

手術の同意書

 

それよりも前に、白板症は診断されていたし、上皮異形成も言われていたので、これらは「前癌病変」と言う癌になるであろう病気であることを言われていました。
私がショックを受けたのはこの時でした。
この「ショックを受けた時」の前後で考えは劇的に変わりました。

 

永遠を信じて疑わなかった

それまで生きているときは、「今」と言う物は当たり前にあって、「未来」と言うのも終わりが見えないほど続く永遠のものでした。
もちろん、「人はいつか死ぬ」と言うことは知っています。

 

人間の寿命は男性が80.50歳女性は86.83歳
計算したら、私の場合あと43年(80歳-37歳)生きることになります。
43年しか生きられないことを示しています。

おじいちゃんおばあちゃんになるまで生きる

死ぬのは年寄りで、自分は違うと考えていた

 

でも、どこか思っていました「自分はもっと生きるかも」
中学生から高校生くらいの時は誰でもそうだと思うのですが、「自分だけは特別」と思っていませんでしたか?
心の天動説です。

自分が世の中の中心で、周りが動いている考えです。

 

当時37歳だった私はそんな中2病くさい考えはありませんでしたが、それでも自分はまだ将来色々なことをして、何かを成し遂げると考えていたのです。

 

有限を知りその中で何をすべきか考えるようになった

「癌になる可能性がある病気です」と言われた時、かなりショックでした。
人が死ぬことは知っていて、自分も「いつか」は死ぬと漠然と思っていました。

でも、それはずっと先の話で、現在の自分から見えないくらい遠くのことでした。

 
ところが、その「いつか」が身近に感じる事象です。

人はいつか死ぬと分かっていても、自分のことではないとどこか感じていました。
それが突然終わりの時期を見せられたのです。

 

自分の舌は痛かったです。
荒れていて状態も良くなかった
このままほおっておいて良くなるとは全く思えなかった

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患部の写真

手術前の患部の画像

 

手術は必要だと感じていました
初めての手術。初めての入院が「自分にも終わりがある」と言うことを意識させました。

 

この時「残りの生きている時間に何をすべきか」と言う考え方になりました。

これまでの「いつかなにか成し遂げる」と言う考えから「今何をすべきか」と言う考えです。

 

日々、なんとなく惰性で取り組んでいたこと。

仕事もそう。
家族との過ごし方もそう。
将来やろうと思っていたこともそう。
その他もろもろ・・・
一度全部忘れることにしました。
全部一度手から離れました。

 

色々なシガラミなんか全部捨てました。
あと何年生きるのか分からないですが、その間に何か出来ることをしよう。

 

2つも3つもできる程器用な人間じゃないのは自分が知っている。
じゃあ、たった一つだけ、何かしようと思ったとき、私は「子供たちの将来を守ろう」と考えました。

 

今しなくてはいけないと考えること

私は仕事も、プライベートも、趣味も、何もかも一度忘れました。
全て手放しました。

 

その上で、たった1つだけ何かしようと思ったのです。
この時点で何年生きられるのか分かりませんでした。

でも、たった1つだけでも悪あがきして何とかしようと思ったのが、「子供の将来を守る」でした。

舌癌の手術

 
私が今死んだら、きっと子供の将来が変わってしまう。
高校にも行けなくなってしまうかもしれない。
大学だって国立にだって行けなくなるかもしれない。

 
子供成人式、結婚式、それらのときに自分だけがいない未来・・・
そんなものを想像したら無性に悲しくなりました。

 

結局子供のためと言う訳ではなく、自分の考えなのです。
でも、子供のために蓄えをしよう、と考え行動するようにしたのです。

 

あれから約5年。
結局そのときしていた仕事は辞めてしまいました。
今はもっと蓄えられる仕事に就いています。

 

家族との時間を大切にするようにしました。
週末には小学生の娘と一緒に散歩に出かけたり、高校生の息子とは漫画の話をしたり、勉強をみてやったり。
自分のことも諦めていません。

 

いつかやれたらいいと思っていたソフトウェア開発を一から勉強するために通信制の大学に入学しました。

仕事は以前寝る間を惜しんで、家でも夜中の2時までやっていましたが、もっと早く寝るようにしています。
自分の免疫力を高めるために十分に身体を休めるようにしました。

 

癌になりたくはなかったけど、癌になったから取り組めたこと、見えてきたこともあります。
現在私は42歳。平均寿命まであと38年。
舌癌が原因でもっと短い人生かもしれません。

 

38年以上生きるのかもしれません。
でも、1年1年、1か月1か月、1日1日の毎日を大事に生きることにしています。
人は「死」を意識したとき、同時に「生きること」も考えるのだと思います。
「生」「死」どちらに注目して生きていくかはその人の「個性」なのではないでしょうか。

 

 

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