舌癌の時の手術、全身麻酔の間違った認識とは

全身麻酔, 手術,

全身麻酔と言うと、ドラマなどでたまに見ますよね。

口にマスクを付けてガスを噴霧。ふーーっと意識がなくなっていく・・・

あれは「嘘」です。「全身麻酔」とはそんな生やさしいものではありません。

 

ここで詳しくお知らせして、認識を改めて頂きたいと思います。

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「嘘」まで言うといいすぎかもしれません。複数の方法があるそうなので。ただ、舌癌の場合、私が経験したものは全く違う物でした。それをお話しします。

こんな間違いを無くしたい

かつて私の子供がまだ3歳くらいの時、歯医者がとにかく嫌いでした。

虫歯になった時も治療できず、歯医者の先生から治療するには全身麻酔が必要です、と言われました。

眠っている間に歯の治療が終わるなら多少費用がかかっても、そちらの方が良いだろうと思い全身麻酔で治療をしてもらったことがありました。今回のことを知っていたら私の子供にそんなことをさせなかったのに・・・

ぜひ、あなたも正しく知ってください。

麻酔

 

 

全身麻酔の工程

全身麻酔の流れを先にお知らせします。

先ほどもお知らせした様に、口元にマスクを付けてふっと意識がなくなる・・・そんなことはありません。

 

まずは、第一に筋弛緩剤を注射します。これ筋肉注射でかなり痛い!

大人でも悲鳴を上げるような注射です。私はこれを子供に受けさせてしまったのです。

実際に自分が注射を受けた時、あまりの痛さに驚きました。自分がいたいのもありますが、子供に受けさせたことを悔やみました。なんだか涙が出てきました。傍から見たらいい大人が痛い注射で涙ぐんでいると見えたかもしれません。

 

その状態で手術室に移動します。自分的には歩いていけると思うのですが、医者はもうそれをさせてくれません。

麻酔

タンカに乗せられて移動式のベッドで手術室に移動します。

そのあと、タンカごと手術台に移動します。そのあと、点滴をされます。その点滴に全身麻酔の薬が追加で注入されるのです。身体に入ってくるのが分かるくらい冷たい薬です。

右腕に点滴をしていたので、右腕から肩にかけて冷たい薬がめぐってくるのが分かったと思ったらそのあとの意識はもうありません。

口のマスクは恐らくそのあとです。私はマスク自体をした記憶がありませんので。

 

舌癌の手術

目を覚ました時には既に6時間だか、8時間だか経過していました。

午前中に手術室に入ったのに、気付けは夕方です。いつの間にか尿道にはチューブが入っていました。

術中や術後におしっこがしたくなったらこれで出るように、なのですが私の場合出ない!

しかも目が覚めたら膀胱がパンパンです。今にもトイレに行きたい!

でも、術後1時間は頭を上げてもいけないと看護師さんに言われました。

このトイレに行きたいのに行けないのが本当につらかった。

 

一定時間経過したら尿道から看護師さんが管を抜いてくれます。「こんなに入っていたのか!」と思うほど長く、「こんなのがはいるのか!」と思うほど太い管が入っていました。

どゅるるんという具合に管を抜いてもらうのですが、それでも1時間は起きたらダメなのです。

今度は尿瓶を渡されます。それでも慣れないと尿瓶で出ないのです。

絞り出すようにおしっこをするのですが、全部はできらない。

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結局1時間経過したら、看護師さんに付き添われてトイレに行けます。ここでやっと出る感じです。

手術は寝ている間に終わるので患者としては怖いことも痛いこともありませんが、術後のトイレがとにかく苦しい思いをします。

 

全身麻酔の危険性

全ての医療行為に必ず危険性があるわけですが、病院では決まりがあるようでその危険性を説明されます。また、説明を受けた旨同意書にサインを求められます。

まずは、その説明書がこれです。

 

全身麻酔の危険性1  全身麻酔の危険2

 

 

ぎっしりですよね。こちらは検査や手術のことで頭がいっぱいなので、ゆっくり読む余裕はありません。

しかし、病院では掻い摘んで重要なところを読んで説明してくれます。

ここには、いくつか恐ろしいことが書いてあります。

 

  • 全身麻酔中は自発呼吸が弱くなるので管を入れて酸素を共有する
  • 器官内にチューブを入れるときに喉を傷つけるかもしれない
  • チューブにタンや鼻水がつまると呼吸困難や肺炎になる
  • 2~3万人に1人程度は全身麻酔から目覚めない

 

これだけ見ると怖いですよね!

手術後は片鼻からチューブが出ています。寝ている間に入れられたのでしょう。そのほかに、口からもチューブが入っているのです。手術中口の中に血が入ったりします。それを吸いだす意味でのチューブが1本。麻酔中は自分で呼吸が十分できないので酸素を送る意味でのチューブが1本。合計2本入っています。

舌癌の手術の場合は、2本とも鼻から入れます。これは口の中の作業を邪魔しないようにです。

 

チューブは上手な人がいれるとケガはないのですが、日本人の9割は鼻の穴が奥で曲がっています。チューブを入れる際に鼻の粘膜などを傷つけると当然血が出ます。手術後に血と体液で鼻が詰まっていることがあります。私の場合、口の中にバルーンを入れて舌に押し付けるように縫っていたので、口からの呼吸も大変でした。その上、鼻が詰まると息ができません。かなり苦しい思いをしたのを覚えています。

 

風邪を引いていると全身麻酔はできないそうです。そのため、手術中に呼吸困難になったり、肺炎になったりはしないのです。

 

最後に、全身麻酔で目覚めないケースですが体質もあるようです。2~3万人に1人程度目覚めない。データを探しましたが、これを示すデータは見つけられませんでした。医療業界などでの特別なデータかもしれませんが、嘘ではないでしょう。

普通に生活している時の「交通事故に会う確率」ですが、これが1万人に1人程度とのこと。

麻酔で目覚めない確率

比較するのもおかしいですが、交通事故に会う確率よりも低いです、と言う安全性アピールです。

 

 

一度死を覚悟した私にとってはそんなに大きな障害にはなりませんでした。

手術ができないほうが問題です。

当然、同意書にサインしました。

 

お陰様で私はちゃんと目覚めました。手術も無事に終わりました。でも、これらのことを知っておいて損はないと思います。あなたの全身麻酔のイメージは現実と合っていましたか?

 

 

 

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